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サッカー用マウスガード製作記録 vol.1(宮川先生によるセミナー受講)

数ヶ月前、とあるセミナーを受講してきました。大変面白かったので記事にします。

みなさん、突然ですがサッカー日本代表でキャプテンを務める遠藤航選手をご存知でしょうか。

リヴァプールの6番(守備的MF)としても有名な彼はユニークなマウスガードをつけています。そしてそれを製作している歯科医師が宮川順充先生です。

今回はそんな宮川先生のセミナーについて。

宮川先生はドイツを拠点に矯正歯科医として活躍されていて、遠藤選手がドイツのクラブに移籍してきたときに担当歯科医になったそうです。

さて、みなさんはマウスガードと聞いてどのようなイメージを持っていますか?

分厚い、歯を守る、ブニっとしてる等、いろんなイメージをお持ちだと思います。

しかし遠藤選手のマウスガードは恐らく一般的に想像されるものとは一線を画しています。

宮川先生はこれまでとは全く違うマウスガードを提唱、開発したのです。

何が違うのか。大変ザックリ申しますと、薄さと硬さです。

従来のマウスガードは厚くて柔らかいのですがこれは薄くて硬いのです。

もちろんギュッと噛みしめて力を出さなければならないスポーツは従来の厚くて柔らかいマウスガードが適していますし、厚さが指定されていたりもします。

しかし、バスケットボールのマイケルジョーダンが舌を出しながらプレーしていることからもわかるように、口元をリラックスさせながらプレーする時間が多い競技においては、装着感の高いマウスガードは不快感を得やすいと思われます。

サッカーもその例外ではありません。長い距離を走りながら周りにコーチングし、さらに精度の高いプレーが求められるスポーツだと考えると、薄くて硬い方が適していると思うのは自然です。

私は小児歯科医として、子どもたちが運動している中で歯を破折、脱臼するケースを多く目の当たりにしてきました。そしてこれまで長い間マウスガードを作成してきましたが、厚くて鬱陶しく感じる装着時の違和感を「我慢しなければならないもの」として疑うことなく診療してきました。

しかし宮川先生の話を聞いて、付け心地が悪いと諦めていたものが全く新しいマウスガードによって改善される可能性がある、と感じました。

宮川先生の見解はザックリ言うと、こうです。

・従来のマウスガードには、EVA(エチレンビニルアセテート)という素材が一般的に使用されてた。(厚くて柔らかいもの)

・これだと衝撃を受けた時に、歯にも衝撃が加わってしまって歯を守れない。

こんな感じです。

要は従来の素材だと歯を守れないのでは、ということです。

宮川先生はこのEVA素材を高強度な衝撃には耐えられず、選手に不快感を与えると考え、薄さと硬さを実現できる素材(カーボンファイバー)に目をつけました。

実際、マウスガードを作成したけれど「付け心地が悪い」「コーチングできない」など様々な理由で装着しない方が少なからずいらっしゃいます。

これでは本末転倒です。薄くて硬くて、使ってもらえる。これが一番なのかもしれない。そう思うようになりました。

ただ、ここからが問題でした。それはどうやったら作ることができるんだろう、ということ。

考えてもわからないので、そのことを素材に詳しい知人に話すと、

『できるんじゃない?作ってみたい、参加させて欲しい!』

とノリ気な様子。

現在当院では、カーボンファイバーによるマウスガードを、その方と共同で開発中です。

プロトタイプができたので今後は開発記録として更新していけたらと思っています。

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