アネスパッチ(ANESPATCH)は、小さなお子さまでも痛みを感じにくい“貼る麻酔”として開発された歯科用の表面麻酔パッチです 。注射針の代わりに極細のマイクロニードル(長さわずか0.25~0.3ミリの微細な針)がパッチ表面に並んでおり、これを歯ぐきに貼ることで麻酔薬を短時間で浸透させ、痛みを抑えることができます 。従来の表面麻酔に比べて効果発現までの時間が大幅に短縮され(およそ1~3分程度で麻酔効果が現れます※) 、お子さまにとって「痛くない歯科治療」をサポートする次世代の医療機器として注目されています 。
※効果の感じ方には個人差があります 。
アネスパッチとは何か?
アネスパッチは、歯科治療時の痛みを和らげるために開発された貼付型の表面麻酔用医療機器です 。コスメディ製薬株式会社が独自の経皮吸収技術(TTS技術)を応用し、「注射をしない麻酔」で痛みの負担を減らすことを目指して開発しました 。パッチに配された数百本の微細針が歯ぐき表面の角質層を優しく刺激し、麻酔薬をしっかりと固定・浸透させることで、注射せずに歯ぐきを麻酔する効果を発揮します 。この“貼る麻酔”によって、注射時に起こりがちな出血や痛みをほとんど感じることなく表面麻酔が可能になりました 。その名のとおり「貼る注射」のように使えるため、痛みに敏感なお子さまにも安心して使用できる画期的な製品です 。
小児歯科での主な用途と効果
子どもの歯科治療でアネスパッチが活躍する場面として、まず挙げられるのが麻酔の注射前処置です。むし歯の治療や乳歯の抜歯などで浸潤麻酔(歯ぐきへの麻酔注射)が必要な際、事前にアネスパッチを貼っておくことで注射針が刺さる痛みを大幅に軽減できます 。実際に、アネスパッチのみで乳歯の抜歯処置を行えたケースも報告されており(通常は麻酔注射が必要な処置)、その麻酔効果の高さが伺えます 。また、歯のクリーニング(スケーリングやルートプレーニング)で歯ぐきに痛みを伴う恐れがある場合にも、注射を使わずにパッチを貼るだけで痛みを和らげることができます 。さらに、痛みに敏感なお子さま・大人の患者さんへの表面麻酔として利用するケースもあります 。このようにアネスパッチは、小児から大人まで幅広い歯科治療のシーンで「痛みや不安を減らす」効果を発揮しています。
アネスパッチの使用方法と流れ
使い方はとてもシンプルで、お子さまにも負担をかけません。歯科医師が治療の前に麻酔したい部位(歯ぐきの注射箇所など)を乾燥させ、アネスパッチをペタッと貼り付けます。その際、パッチ中央部の微細針に表面麻酔薬(歯科用の麻酔ジェル等)を少量染み込ませてから貼付し、指先で優しく押さえます 。わずか1~3分ほど貼っておくだけで麻酔が効いてきますので 、その後パッチをそっと剥がせば表面麻酔の完了です。パッチを貼っている間も強い痛みはなく、お子さまはシールを貼られているような感覚でいられるため、治療前の不安な時間をリラックスして過ごせます。麻酔が効いた状態で治療に入ることで、注射針による痛みを感じずに済み、スムーズに処置を進めることができます。
痛み・不安の軽減に関する効果とデータ
アネスパッチは痛みや恐怖心の軽減に顕著な効果を示しています。従来の表面麻酔では効果が出るまで5分以上待つ必要があり、その間に患者さん(特に子ども)の不安が高まってしまうこともありました 。一方、アネスパッチは1~3分程度で麻酔効果を発揮できるため、待ち時間が短くお子さまの不安を最小限に抑えることができます 。また、微細針による密着効果で麻酔薬がしっかり浸透するため、貼付中・貼付後ともにお子さまが痛みを感じにくく、結果的に「注射が怖くなかった!」という自信にもつながります。実際に、アネスパッチ使用の有無で麻酔注射時の痛みを比較評価した臨床報告では、使用した場合のほうが痛みが軽減されたとのデータが専門学会で発表されています 。歯科医院の現場からも「子どもの注射時の泣き声が減った」「治療中に怖がって中断するケースが減少した」といった声が寄せられており、アネスパッチの導入がお子さまの歯科治療に対する恐怖心を和らげる一助となっていることが伺えます 。
安全性と副作用について
アネスパッチは子どもにも安心して使える安全性が確保されています。パッチの微細な針は歯ぐきの表面をわずかに刺激する程度で、組織を傷つけたり出血させたりする心配はありません 。貼付中も痛みを感じることはほとんどなく、処置後に歯ぐきを確認しても特別な傷跡などは残りません。また、パッチが歯ぐきにしっかり密着して麻酔薬を留める構造のため、麻酔薬が口の中に流れ出したり、誤って飲み込んでしまうリスクも低減されています 。使用する麻酔薬の量もごく少量で済み、作用は局所に限られますので全身への影響もほとんどありません。もちろん、医療機器として厚生労働省へ届け出済みの商品であり(医療機器届出番号: 26B2X10034000001 他)※、歯科医師の指導のもと適切に使用されますのでご安心ください。副作用らしい副作用は報告されていませんが、万一アレルギーなどの心配がある場合は事前に歯科医師へご相談いただくとよいでしょう。
※アネスパッチSS・S・Lの各サイズで医療機器届出済 。
従来の表面麻酔や他製品との比較・特徴
アネスパッチの登場により、従来の表面麻酔方法との違いが際立っています。一般的な表面麻酔(歯ぐきに塗る麻酔ジェルやスプレー)は、効果が出るまで5分以上かかったり、麻酔薬が唾液と一緒に流れてしまって十分な効果が得られないことがありました 。また、麻酔ジェルが喉の方に流れると舌や喉がしびれてしまい、お子さまが驚いてしまうケースもあります。アネスパッチはマイクロニードルで薬剤を浸透させるためわずか1~3分でしっかり麻酔が効き 、治療前の長い待ち時間を減らせます。さらにパッチが麻酔薬をその場に留めてくれるので薬液が余計な場所に流れず、舌や喉がしびれる心配もありません 。一方、従来の麻酔注射と比べても、アネスパッチは針を刺す痛みや恐怖がない点で大きなメリットがあります。実際の歯科診療では、アネスパッチで歯ぐきを十分にしびれさせた後にごく細い注射針で麻酔液を入れることで、「いつ麻酔したのかわからない」ほど痛みを感じないケースも多く報告されています。つまり「表面麻酔の効果を最大限に高めたうえで注射による痛みもほぼゼロにする」という今までにない方法を可能にしたのがアネスパッチなのです 。このような優位性から、2023年の発売以来アネスパッチは歯科業界で高く評価され、多くの小児歯科医院や一般歯科医院で導入が進んでいます 。お子さまの「痛いかな…怖いな…」という不安を少しでも減らし、保護者の方にも安心して治療を受けていただくために、当院でも積極的に活用してまいります。